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リハビリブログ

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膝の痛みがお尻の状態改善で消える!?

2020-08-03
 当院に勤務する理学療法士の安藤と申します。当院がある岐阜県は新型コロナウィルスの新規感染者の増加が今のところ落ち着いております。みなさんの地域ではいかがでしょうか。この新型コロナウィルスの影響で学生スポーツの全国大会が中止になったという情報に触れます。特に最終学年の選手たちには残酷な現状をつきつけられて、かける言葉が思いつきません。
 私自身は高校水球部のトレーナー活動をしており、選手が今まで練習してきたことを発揮する場が奪われる姿を目の当たりにしております。心が挫けそうになるかもしれませんが、いつか試合ができる日が来ると信じて練習を続けてもらいたいです。
 
 さて、今回は膝の痛みがお尻の状態を改善して消えた水球選手のZ君についてです。Z君は高校の男子水球部に所属するゴールキーパーです。水球は水深2m以上のプールで行う球技です。水面に浮いているために「巻き足」(図1)という技術を使います。
ゴールキーパーはゴール前でずっと巻き足を続けて浮いている必要があります。ゴールキーパーにとって巻き足はとても大切な技術であり、他のポジションの選手以上に巻き足の練習に時間を多く費やします。
 Z君はこの巻き足の練習を集中的にした後に左膝の外側が痛くなりました。湿布を貼って様子をみていたのですが、痛みが一向に治まらないので当院を受診されました。
 医師から腸脛靭帯摩擦症候群ちょうけいじんたいまさつしょうこうぐんと診断され、リハビリを開始することになりました。腸脛靭帯摩擦症候群は、太ももの骨の外側(大腿骨外側上顆)と靭帯(腸脛靭帯)(図2)の摩擦が原因で靭帯が炎症を起こし運動時に痛みを生じます。Z君は痛みが強く、十分に膝を曲げることができなくなっていました。
腸脛靭帯は大腿筋膜張筋という筋肉とつながっております。この筋肉を伸ばして強すぎる靭帯の緊張を改善することが痛みを取る第一歩となります。必要なストレッチ(図3:大腿筋膜張筋のストレッチ)を指導し、実施していただくことで、痛みは軽くなりました。
 しかし、完全に痛みを取り除くことができなかったため、改めて巻き足動作に着目して考え直しました。巻き足動作が上手な選手は足の位置が高い(図4)ことが言われており、足の位置を高くするには、股関節をしっかり曲げ、膝を上げなければいけません。
 Z君の股関節は硬く、動かせる範囲が狭くなっていました。また左側のお尻の筋肉を伸ばすと痛みが出ました。お尻には大殿筋という筋肉が覆っています。この大殿筋の一部は腸脛靭帯とつながっています。大殿筋が硬いことで、腸脛靭帯を緊張させて膝に痛みを起こしていることが考えられました。
そこで大殿筋の硬さを改善するストレッチ(図6)を指導し、実施してもらいました。その後は痛みが消失し、水球に打ち込むことができるようになりました。
 スポーツごとに特徴的な技術があり、その技術は隣り合う関節が相互に影響しあっています。患部のみの治療で痛みが改善しないとき、その痛みの原因は他の部位にあるかもしれません。

扁平足障害

2020-07-24
こんにちは(^^♪ 理学療法士の長野です。
コロナウイルスの自粛生活が徐々に緩和されスポーツ活動も再開されるようになってきた今日このごろです。
 最近CMを見ていて、サッカー界の名将グアルディオラ監督の言葉に心打たれました。あの世界最高のチームの一つであるバルセロナの元選手であり、元監督でもある素晴らしい人物です。その言葉とは・・・
 
 
『笑う時もあれば泣く時もある。だからスポーツは美しい』
 
 
この言葉を聞いたときにスポーツの良さを改めて実感しました。
これからは毎回、グッとくる名言を紹介していこうと思います。(^^)/
 
さて、今回の患者様を紹介します。
 
 
女子大学生 バレーボール選手(リベロ) Bさん
診断名:両偏平足障害
担当セラピスト:長野
 
 
Q. 偏平足障害とは
A. 足裏は内・外側の縦アーチと横アーチにより構成されます。このアーチ構造、特に内側縦アーチの低下した異常な状態を偏平足といいます。偏平足に伴い、足部周囲に痛みなどが生じている状態を偏平足障害といいます。
 
 
Q. どうやってケガをしましたか?
A.バレーボールの練習中に内くるぶしや足裏が痛くなってきました。(写真①)
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リハビリ内容・セラピストの感想
 Bさんの足部は明らかな偏平足でした。(写真③)土踏まず(内側縦アーチ)(写真②)を形成するための筋肉である長母指屈筋(親指の筋肉)や後脛骨筋(ふくらはぎの深層の筋肉)(図①)の筋力低下がみられました。
また足裏の硬さ(足底腱膜)(図②)も著明でした。内側縦アーチや足底腱膜は地面と足部の衝撃を和らげるクッションとして働きます。バレーボールはジャンプやステップが多い競技ですが、Bさんは偏平足や足底腱膜の硬さにより足を床についた時の衝撃を和らげることができずに筋肉に負担がかかり過ぎ痛みが生じていると考えられました。
リハビリとしては長母指屈筋や後脛骨筋の筋力訓練(写真④)、足裏のストレッチ(写真⑤)、バランス訓練(写真⑥)、親指を意識したステップ動作訓練などを中心に行いました。
なかなか長母指屈筋の筋力が向上しなかったため、筋肉の収縮を促す電気治療(写真⑦)を途中から行いました。さらに、シューズに足底板を貼り付け、靴底にアーチを作りました。(写真⑧)
その結果、約2か月半で痛みは消失しました。
 
 今回のリハビリを通じて感じたのは、筋力訓練を継続して行う事の重要性です。症状が短期的に改善する方もいらっしゃいますが、筋力がしっかりついてから症状が改善してくる方もいらっしゃいます。Bさんは偏平足という構造的問題の改善には至りませんでしたが、地道に筋力訓練を積み重ねた結果、痛みの消失につながったため、筋力訓練の継続の大切さについて再認識しました。今後もトレーニングを継続する事の重要性を伝えていきたいですし、また継続するために治療者を信頼してもらえる存在になることが大事になると思っています。知識や技術をさらに身に付け、熱意をもって接していきたいと考えています。
 
 
Q. 当院のスポーツリハビリはいかがでしたか?
 
A.  痛いところを入念にリハビリしてくれた。きついリハビリだけじゃなくて、自分の種目のスポーツの動きを取り入れたリハビリをしてくれた。
 
 

動作分析の大切さ

2020-06-25
理学療法士の秋田です。新型コロナウイルスで世界中が危機感を持って行動する中、我々医療職は感染リスクに日々怯えながらも仕事を全うしています。皆さんも細心の注意を心がけましょう!
 
当院ではスポーツ外来を平日の16:00~19:00でやっています。スポーツ患者さんに関して時にはスポーツ担当の理学療法士(以下:PT)で話し合いながら、より早くスポーツ復帰できるようにリハビリしています。
 私自身高校生の時、サッカーでケガをして一番大事な試合でプレーすることが出来ませんでした。私と同じ境遇になるスポーツ選手を少しでも減らしていきたいという気持ちで治療に励んでいます。スタッフ一同協力して復帰の後押しをしていきますので、苦しんでいる選手やご家族、チームスタッフの方がみえましたら、一度当院で相談していただけると幸いですm(__)m
 
 今回はケガの中でも非常に多い足首の捻挫に関して紹介します。足首の捻挫はスポーツ競技において最も多いケガで、ジャンプの着地時や、相手との接触で受傷することが多いです。捻挫は「靭帯」という骨と骨をつないでいる組織が伸びてしまったり、ひどい時には断裂しています。又、骨折していることもあります。競技復帰は2週間~1か月半程度と言われていますが、早期に協議復帰した場合、なんらかの愁訴が残ったり、再受傷のリスクも高まりますので、たかが「捻挫」と思わず、一度病院受診をお勧めします(^^)/
 某高校の女子バレー部の選手です。接触プレーで足首の捻挫を受傷し、再発を繰り返していました。足首の筋力が弱く、不安定性も強い選手でした。選手の悩みでもあったレシーブの姿勢を確認したところ、足首が硬いことや太ももの筋力が弱いことで膝をしっかり曲げて重心を低く構えることができませんでした(写真1左)。その結果、身体がのけ反り、腕だけでレシーブしていたことで、返球が安定していないと推察しました。そこで、足首のストレッチ(写真2)や筋力強化(写真3)トレーニングをしてもらいました。トレーニング後は足首が柔らかくなったことで、重心が低く保てるようになり、体が前傾したことで、腕だけでなく体全体で安定したレシーブができるようになりました(写真1右)。
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私たちは「ケガ」をみるだけではなく、「人」をみることを大切にしてリハビリを提供しています。ケガだけではなく、ケガに直結している動作分析や、動作の悩みなども、可能な限り選手にフィードバックして、ケガ以前よりもパワーアップした状態での復帰を目指せるように、一緒に頑張っていきましょう!

投球障害肩

2020-05-23
15歳 男子 野球選手(ショート) Y君
診断名:肩峰下インピンジメント
担当PT:長野
 
Q.肩峰下インピンジメントとは?
A.烏口肩峰アーチと肩峰下滑液包・腱板との間で生じる
  衝突(インピンジメント)現象です。
肩関節
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Q.いつどのように痛くなってきましたか?
A.キャッチボールをしている時に右肩の外側がだんだんと痛くなってきました。
リハビリ内容・セラピストの感想
Y君のリハビリ前の投球フォームは体のひねりや胸の張りが少なく、右の肘は下がり肩甲骨の引き寄せも不十分な投げ方でした。(写真①)
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これらの原因として体幹や肩関節後下方の柔軟性低下、肩甲骨を内側へ引き寄せる僧帽筋中部・下部の筋力低下が考えられたので、肩関節後下方のストレッチ(写真②)や体幹のひねりと胸張りのストレッチ(写真③)、僧帽筋中部・下部の筋トレ(写真④)を行い、その後に体幹のひねりや胸の張り、肩甲骨の引き寄せを意識した投球動作を繰り返し練習しました。
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リハビリ前と比べリハビリ後には肘は両肩を結んだラインより上がり、肩甲骨の引き寄せや胸の開きも大きくなり(写真⑤)、投球時の痛みは消失しました。
 
しかし柔軟性や筋力が十分とは言えず、再発の可能性があるため継続して自宅でもトレーニングを行ってもらう必要があります。またこれらのトレーニングはケガ予防だけではなくパフォーマンスUPにもつながります。Y君には今回のケガを通じて自分の体のケアをできる選手になってもらえたらと思います。
Q.当院のスポーツリハビリはいかがでしたか?
A.一人ひとりに合ったリハビリをしていて、どこが悪いか、どこが弱いかよくわかった。自宅で行うべきトレーニングをしっかり教えてくれたのでよかった。
 
 

スポリハブログ始動

2020-05-16
カテゴリ:お知らせ
大垣中央病院のリハビリテーション科ブログとして、
リハビリブログ」を開設致します。
まずは、
スポーツリハビリテーション略してスポリハブログ始動します!
 
大垣中央病院リハビリテーション科では、平日及び土曜日午前中、スポーツ選手を対象にしたスポーツリハビリテーション(スポリハ)を実施しています。当院整形外科医である臼井医師はスポーツドクターなため、リハビリ科でも5年ほど前からスポーツ選手の競技復帰を目標としたスポーツリハビリを開始しました。それぞれの曜日担当理学療法士(PT)の知識及び経験値も高まってきたことから、スポリハブログを開設する運びとなりました。
 
本来スポーツリハビリテーションは、正式にはアスレティックリハビリテーションと呼称されています。日本スポーツ協会の公式資格としてはアスレティックトレーナー(AT)として、選手がケガなどから回復させ競技復帰を果たすためのアスレティックリハビリテーション、選手の競技パフォーマンスを向上させるためのフィジカルトレーニング、栄養面や心理面までトータルに選手をサポートする立場として養成されております。私はATの資格を保有し、過去に実業団日本リーグ1部所属ハンドボールチームやインカレ常勝の大学女子バスケットボールチームの専属トレーナーの経験があり、当院のスポリハの火曜日担当と各曜日担当PTの相談役をしております。
ブログでは、ケガをした選手のリハビリ(スポリハ)を中心に、病院内や病院外活動として地域の高校生やクラブチーム、実業団にも足を運んでいますので、活動記録などの記事をアップしていく予定です。
病院外で活動する際に着用するために作ったポロシャツです。これを着ているスタッフを見かけたら、是非声をかけてくださいね。
第一回は、大垣中央病院のスポリハブログ始動のお知らせでした。次回のブログでは具体的にどんなスポリハを実施しているかをアップさせます。
次回は、1週間後を予定しております。乞うご期待!

大垣中央病院リハビリテーション科PT・AT:臼井友乃
医療法人社団 豊正会
大垣中央病院
〒503-0025
岐阜県大垣市見取町4丁目2番地
TEL:0584-73-0377
FAX:0584-73-8380

内科、外科、整形外科、リハビリテーション科、消化器内科、消化器外科、循環器内科、泌尿器科、肛門外科、糖尿病内科、腎臓内科、リウマチ科

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